近年、本格的高齢化社会の到来とともに、泌尿器科は「人生80年時代のカップルライフを支援する総合臨床科」へと進化しつつあります。急増する前立腺がんなどの悪性の病気はもとより、日常生活の質を低下させる排尿や性機能のトラブルに関連する病気の治療など、泌尿器科医療の診療範囲と社会的ニーズは拡大の一途にあります。岡山大学泌尿器科では、泌尿器科医療の全ての領域において、科学と基礎研究に裏打ちされた最先端の医療を優しく提供することに心がけています。
泌尿器科医療の最大の特色は、体への負担の少ない(低侵襲性)医療の研究開発とその実践と標準化にあります。岡山大学泌尿器科では、先進的内視鏡手術、腹腔鏡手術に早くから取り組み、平成23年7月には、外科手術手技に革命的進化をもたらすロボット(ダヴィンチ・システム)支援手術である『根治的前立腺全摘除術における内視鏡下手術用ロボット支援』の先進医療実施施設として全国で3番目、国立大学で最初の認可を受けました。一方、前立腺がんに対する重要な治療の選択肢として、放射線治療、特に、小線源治療にも平成16年より積極的に取り組んでいます。また、新しい医療の創造を目指して、間質性膀胱炎に対する内視鏡的局所塗布治療の基盤研究および橋渡し研究を実施しています。このように『進歩、対話、優しさ』を基本姿勢として、一人ひとりの患者様の病態と要望に対応する最適の治療の提供を心掛けています。
同様に、他の泌尿器科腫瘍はもとより、感染症、結石治療に対してもすべての人に優しい治療の実践に最大限の努力をしています。また、腎移植に関しても、平成21年より泌尿器科で担当しています。さらに、男性性機能・男性更年期、性同一性障害、女性専門外来、夜尿症外来などの専門外来に加えて、セカンドオピニオン外来を開設し、QOLを支援する総合臨床科として、平成25年7月の岡山大学泌尿器科講座開講100周年に向けて深化を続けております。ご意見、ご要望をお寄せくださいますようお願い申し上げます。